唐九郎トーク:「国際児童年記念 21世紀の主役へ」 世界の100人メッセージ

1980年、ユネスコ国際児童年を記念して毎日新聞・ユネスコより『国際児童年記念 21世紀の主役へ』が刊行されました。唐九郎はここに世界100人の一人として寄稿しております。このメッセージには、野の陶人といわれた唐九郎の世界観、歴史観のエッセンスがこめられているように思われます。ぜひご一読ください。

二十一世紀をになう子どもたちに、願うことは多い。まず、学歴を 偏重せず、学力に重点を置く社会をつくるために、君たち自身も十分考 えて行動してほしいということだ。 何のために学校、とくに大学に行くのか。就職と肩書きのためではなく、本当の学力で勝負してほしい。つぎに、もし君たちが男の子であれば、いまよりももっと男性らしくあらねばならない。男性の軟弱化は憂うべきことだ。それは女性のためにも国のためにも不幸になる。男らし く、ということはつまり、百年先きを見透す眼力を備えるように、自らを鍛え抜くことだ。
二十一世紀の未来社会の日本語のあり方も考えたい。日本語の話し言葉は実に不確実だ。それは敬語で成り立っているからだ。目上の人によって言葉を変える。そこに階級性がどうしても生じて来る。敬語を簡略化して、日本語をもっと明せきにするように、これは大人も子どもも、一人一人が考えねばならないと思う。さらに形式的なことかも知れぬが西暦を主体としたものの見方も必要だろう。全世界的な考えを養うために。ただし、元号が消えると淋しいのでこれはカッコ書きで記していけばよい。 |
最後に戦争。戦争は運命的にのがれることができず、必ずどこかで起きると思っていてほしい。とくに米 ・中・ソがからんだところで。そのとき君たちは、いずれにも引き込ま れずに、第三者として静観する勇気 を見せてほしい。

出典:『国際児童年記念 21世紀の主役へ』
世界の100人メッセージ 毎日新聞社・ユネスコ 1980年